リモート勤務OKの裏側:仕事環境を覗いてみた

date_range 2025/06/26
人事ブログ
石川 航
記事no11

企業の採用情報にも「リモートOK」や「フルリモート可能」といった文言が並ぶようになりました。
通勤がなく、時間の自由度も高い――そんな魅力から「リモートOK」の求人に惹かれる人も多いのではないでしょうか。


しかし、その実態はどうなっているのでしょうか。
今回は、リモートワークを日常的に行っている人たちの働く環境を覗きながら、「リモートOK」の裏側に迫っていきます。

リモートOK=どこでも働ける時代?

「リモートOK」と一口に言っても、実際の働き方にはグラデーションがあります。
たとえば、


週に何日か出社が必要な「ハイブリッド型」
完全に在宅で業務をこなす「フルリモート型」
コワーキングスペースやカフェ利用も可とする「場所自由型」


など、企業ごとにルールやスタイルが異なります。
また、「OK」と書いてあっても、入社後に「実は会議はオフィスが前提」といった事例も。


リモートワークを希望するなら、「どこで・どのように・どのくらい」働けるのか、求人情報だけでなく面接時にもしっかり確認することが大切です。

リモートワーカーたちのリアルな仕事環境

では実際に、どのような働く環境で人々はリモートワークをしているのでしょうか。
ここでは、3人のリモートワーカーに話を伺いました。


ケース1:都市部マンションで働くWebデザイナー(30代・女性)
「小さなワンルームに、PCデスクとモニター2台を置いています。
最初はダイニングテーブルで作業していたんですが、肩こりがひどくて…。仕事用チェアに投資して正解でした」


彼女の場合、自宅での集中力を維持するために、午前と午後で仕事の内容を変える工夫をしているそうです。
午後は眠くなりやすいため、ZOOMでの打ち合わせや軽作業を中心にスケジューリングすることで効率アップを図っています。


ケース2:地方移住したエンジニア(40代・男性)
「元々東京で働いていましたが、フルリモートが可能になったタイミングで長野に移住しました。
家の広さが倍になって、念願の書斎も作れたので仕事に集中しやすくなりました」


この方は、自宅の一室を完全に「職場」として区切り、私生活とのメリハリを意識しているとのこと。
昼休みに畑仕事をすることもあるそうで、「働く環境と暮らし方のバランスが整った」と語ってくれました。


ケース3:カフェを拠点にするマーケター(20代・女性)
「自宅だと気が散ってしまうので、毎日お気に入りのカフェで働いています。
Wi-Fi環境も整っていて、顔なじみのスタッフさんもいるので安心です」


彼女はノートPCとモバイルWi-Fiを持ち歩き、必要に応じてコワーキングスペースも活用。
オフィスがないからこそ、「自分の働きやすい場所を選べる自由」が大きな魅力だと話してくれました。

リモートワークの課題と対策

自由な働き方ができる反面、リモートワークには独自の課題も存在します。
代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。


孤独感とコミュニケーションの壁
「誰にも会わずに1日が終わる」という日が続くと、孤独を感じる人も少なくありません。
オフィスでの雑談や自然な会話が減ることで、チームの一体感が薄れる可能性も。


対策
定期的なオンライン雑談タイムや、バーチャルランチなどを導入している企業も増えています。
ZOOMやチャットツールでの気軽なやり取りを推奨することで、心理的な距離を縮める工夫が求められます。


働きすぎ・オンオフの境目が曖昧に
通勤がないぶん、いつでも働けてしまうのがリモートワークの落とし穴。
「気がついたら夜遅くまでPCの前にいた」という話もよく耳にします。


対策
就業時間を明確に決める、チャットの通知を切る時間を設ける、作業終了後は仕事部屋に入らないなど、
自分自身で“区切り”をつける意識が大切です。


セキュリティと情報管理
自宅やカフェなどで機密情報を扱う場合、データ流出のリスクも。
特にフリーWi-Fi利用時には注意が必要です。


対策
VPNの導入や、会社貸与のPC・セキュリティソフト使用など、企業側の体制づくりも重要です。
個人でもパスワード管理やバックアップの習慣化を徹底しましょう。

リモートワーク導入時の重要ポイント

これまでご紹介してきたメリットとデメリットを踏まえつつ、実際にリモートワークを導入する際に押さえておきたいポイントを3つに整理してご紹介します。


柔軟な勤怠管理と公正な評価制度
リモートワークの大きな特徴である「時間・場所にとらわれない働き方」は、柔軟性の一方で、勤怠管理や労働時間の把握を難しくする側面もあります。
特に、長時間働いてしまう“オーバーワーク”のリスクも指摘されています。
従来のような出退勤時間や残業時間に基づく評価だけでなく、「成果やプロセスをどう評価するか」といった新しい視点での評価基準づくりが求められます。


福利厚生と在宅勤務手当の見直し
リモートワークの普及に伴い、通勤手当の必要性は低下する一方で、自宅での業務にかかる電気代・空調代・通信費などの負担が増加しています。
そのため、企業側としては、従業員が安心して働けるように、在宅勤務に特化した手当や補助制度を整備する必要があります。
「働く場所が変わることで発生する新たなコストに、どう対応するか」が、今後の大きな検討課題となるでしょう。


デバイスと業務環境の標準化
すべての社員が同じような作業環境を自宅に持っているとは限りません。
中にはパソコンを持っていない人や、セキュリティ面で不安が残る環境で業務を行っているケースもあります。
業務効率や情報セキュリティを担保するためにも、業務用PCや周辺機器など、必要なデバイスの標準化・貸与は不可欠です。


また、環境差による生産性のばらつきを防ぐ意味でも、社内での統一基準を設け、誰もが快適にリモートワークを行える体制づくりが求められます。


このように、リモートワークの導入には柔軟性だけでなく、制度や環境整備に対する戦略的な対応が不可欠です。
企業側の支援と仕組みづくりが、長期的に持続可能な働き方への鍵となるでしょう。

これからの「リモートOK」とは

今後、テレワークは「特別な働き方」ではなく、選択肢の一つとして定着していくと考えられます。
企業にとっても、採用の幅を広げられる大きなメリットがあるからです。


同時に、働く側にも「自律性」や「セルフマネジメント力」がより求められるようになります。
「どこで働くか」だけでなく、「どう働くか」を考えることが、これからのリモート時代には欠かせません。


「リモートOK」という言葉には、自由な働き方の可能性と、それを実現するための工夫の両面があります。
理想のワークスタイルを叶えるためには、働く環境の整備だけでなく、自分自身の働き方に対する意識改革も必要です。
誰かにとっての理想のリモート環境が、あなたにとって最適とは限りません。
「リモートOK」の裏側には、個々の工夫と試行錯誤があることを、ぜひ心に留めておいてください。

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