DDoS攻撃を5分で理解!初心者向け完全ガイド

「DDoS攻撃」という言葉を聞いたことはあるけれど、実際どんなものか分からない...そんな方のための完全ガイドです。専門知識は一切不要!身近な例えを使って、5分で理解できるよう分かりやすく解説します。レストランへのいたずら電話、コンビニのレジ行列など、日常生活でイメージできる例えを使って、DDoS攻撃の仕組みを説明。さらに、今すぐできる5つの対策方法も具体的な手順付きでご紹介。パスワード強化から相談先の確保まで、お金をかけずに始められる対策を中心に、初心者でも実践できる内容にまとめました。

DDoS攻撃を日常生活で例えると

レストランの予約電話で理解する

人気のイタリアンレストランを想像してください。普段は10本の電話回線で十分対応できているお店があります。ある日、新メニューの予約開始日に、悪意のある集団が1000人で一斉に電話をかけてきました。お店の電話は鳴り続けますが、対応できるのは10本だけ。残りの990本の電話は話し中となり、その中に紛れた本当のお客様20人も電話がつながらず、予約を諦めてしまいます。

これがまさにDDoS攻撃の仕組みです。「DDoS」というのは簡単に言うと「大量の迷惑アクセスでサービスを使えなくする攻撃」のことです。レストランの電話がパンクするように、Webサイトも大量のアクセスでパンクしてしまうのです。

時刻 状況 お店への影響 お客様への影響
9:00 通常営業開始 電話対応スムーズ(10件/分) 予約が取れる(待ち時間なし)
9:30 いたずら電話開始(100件) 電話が鳴りっぱなし つながりにくい(5分待ち)
10:00 電話パンク状態(1000件) 業務停止・スタッフ混乱 予約不可能(話し中のみ)
10:30 攻撃継続中 他の業務も滞る 来店して直接予約する人も
11:00 攻撃終了 徐々に回復開始 予約再開するも不信感残る

実際のインターネットでも同じことが起きます。普段は1秒間に100人のアクセスを処理できるWebサイトに、突然10万人が同時にアクセスしてくると、サーバーは処理しきれなくなります。すると、本当にサービスを使いたいお客様がアクセスできない状態になってしまうのです。

さらに厄介なのは、この攻撃が世界中から同時に行われることです。レストランの例えで言えば、日本だけでなく、アメリカ、ヨーロッパ、アジア各国から同時に電話がかかってくるようなものです。どこからの電話が本物のお客様で、どこからが迷惑電話なのか、瞬時に判断することは非常に困難になります。

コンビニのレジ行列で理解する

朝7時、駅前のコンビニを思い浮かべてください。通勤前のサラリーマンが朝食を買いに来る一番忙しい時間帯です。そこに悪意のある集団100人がやってきて、次のような迷惑行為を始めたらどうなるでしょうか。

  1. 普通のお客様に紛れて入店(潜伏期)
    最初は普通のお客様のふりをして、店内をウロウロします。この段階では、誰が迷惑客なのか見分けがつきません。

  2. 一斉にレジに並び始める(攻撃開始)
    合図と共に、100人が一斉にレジに並びます。レジは3台しかないので、あっという間に長蛇の列ができます。

  3. わざと時間をかけて会計(リソース消費)
    レジに来ても「やっぱりこれも買います」「小銭を探します」と言って、1人10分以上かけて会計します。

  4. 本当のお客様が買い物できない(サービス妨害)
    朝食を買いたいサラリーマンは、列を見て諦めて店を出ていきます。お店は営業しているのに、売上がゼロになってしまいます。

この状況がまさにDDoS攻撃です。コンビニ(Webサイト)は正常に営業しているし、店員(サーバー)も普通に働いています。でも、迷惑客(攻撃)のせいで、本当のお客様にサービスを提供できないのです。

インターネットの世界では、この「迷惑客」はボットと呼ばれる自動プログラムです。1つのボットが1秒間に100回もアクセスを繰り返し、それが数万個同時に動くことで、どんなに大きなWebサイトでも簡単にパンクさせることができてしまうのです。

駅の改札での混雑で理解する

新宿駅の朝8時、通勤ラッシュの改札を想像してください。普段でも混雑していますが、なんとか人は流れています。ところが、ある日悪意のある集団500人が、わざと改札を詰まらせる作戦を実行したらどうなるでしょう。

改札機(10台)
Webサーバーの入口の役割。1分間に30人を通すことができる処理能力があります。
通勤客(本来の利用者)
正常なアクセス。朝の時間帯は1分間に200人が利用したいと思っています。
悪意のある集団(攻撃者)
サービスを妨害する存在。わざと読み取れないICカードを使ったり、逆走したりして改札を詰まらせます。
駅員(システム管理者)
トラブル対応に追われる人。でも500人の迷惑客に対して、駅員は5人しかいません。
改札エラー音
サーバーのエラーログに相当。「ピンポーン」という音が鳴り続け、正常な処理ができていないことを知らせます。
迂回ルート(別の改札)
CDNやロードバランサーのような代替手段。でも、攻撃者はそちらも同時に狙ってきます。

この状況で起きることは以下の通りです。まず、改札前に巨大な人だかりができます。本物の通勤客は電車に乗り遅れ、会社に遅刻します。駅員は対応に追われますが、どれが迷惑客なのか瞬時に判断できません。結果として、駅は機能停止状態になります。

DDoS攻撃も全く同じです。Webサイトの入口(改札)に、大量の偽アクセス(迷惑客)が押し寄せることで、本当の利用者がサービスを使えなくなるのです。しかも、この攻撃は24時間365日いつでも起こる可能性があり、世界中から同時に仕掛けられることもあるのです。


なぜ自分の会社も狙われるのか

中小企業が狙われる3つの理由

「うちは小さい会社だから関係ない」と思っていませんか?実は、中小企業こそがDDoS攻撃の標的になりやすいのです。その理由を詳しく見ていきましょう。

  1. 大企業への踏み台として

    あなたの会社が大企業と取引があるとします。攻撃者は、セキュリティの固い大企業を直接狙うのではなく、防御の甘い中小企業を先に乗っ取ります。そして、その会社のメールアドレスやIPアドレスを使って、取引先の大企業を攻撃するのです。

    例えば、町工場が自動車メーカーに部品を納品しているとしましょう。攻撃者は町工場のシステムを乗っ取り、「緊急の設計変更です」という偽メールを自動車メーカーに送ります。信頼している取引先からのメールなので、大企業も油断してしまい、ウイルスに感染してしまうのです。このように、中小企業は大企業への入口として狙われやすいのです。

  2. セキュリティが甘いから

    多くの中小企業では、IT専門の担当者がいません。社長自らがパソコンの設定をしたり、総務の人が片手間でやっていることがほとんどです。また、セキュリティ対策にかけられる予算も限られています。

    攻撃者から見れば、これは「鍵のかかっていない家」と同じです。銀行のような頑丈な金庫を破るより、無施錠の家に入る方が簡単ですよね。中小企業の7割以上が基本的なセキュリティ対策すら不十分という調査結果もあり、攻撃者にとって格好の標的となっているのです。

  3. 身代金を払いやすいから

    大企業には法務部門やリスク管理部門があり、脅迫には屈しない方針が確立されています。しかし中小企業の場合、「明日の売上が止まったら倒産する」という切実な状況があります。そのため、「100万円払えばDDoS攻撃を止める」と脅されると、パニックになって支払ってしまうケースが多いのです。

    実際、日本の中小企業で身代金を要求された会社の約35%が支払いに応じてしまったという報告もあります。一度払うと「カモリスト」に載せられ、繰り返し狙われることになります。

実際の被害パターン

では、実際にどのような被害が起きているのか、業種別に見てみましょう。

業種 狙われる理由 典型的な被害 平均被害額 復旧期間
ECサイト 売上直結・競合の嫌がらせ 販売機会損失・顧客離れ 500万円/日 3-7日
病院・クリニック 人命に関わるため交渉しやすい 診療停止・予約システム停止 1000万円/週 1-2週間
製造業 サプライチェーンの弱点 納期遅延・違約金発生 2000万円/件 2-4週間
学習塾・予備校 オンライン授業への依存 授業中断・生徒の信頼失墜 300万円/日 3-5日
不動産会社 個人情報を大量保有 物件検索不可・契約業務停止 800万円/週 1週間
飲食店 予約システムへの依存 予約受付不可・売上半減 100万円/日 2-3日

特に注目すべきは、ECサイトの被害です。年末商戦やセール期間を狙われると、1日で数千万円の機会損失になることもあります。また、一度攻撃を受けると、お客様の信頼を失い、その後の売上も大きく減少してしまいます。

医療機関の場合はさらに深刻です。人命に関わるため、攻撃者も強気に出てきます。「今すぐ500万円払わないと、明日も攻撃を続ける」と脅され、患者さんのことを考えると支払わざるを得ない状況に追い込まれることもあります。

あなたの会社の危険度チェック

以下のチェックリストで、あなたの会社がDDoS攻撃に狙われやすいかどうか確認してみましょう。

基本リスク項目:

  • □ Webサイトを運営している
  • □ オンラインで注文や予約を受けている
  • □ 顧客データをデジタルで管理している
  • □ メールでのやり取りが業務の中心

セキュリティ体制:

  • □ IT専門スタッフがいない(または1人だけ)
  • □ セキュリティ対策の予算が年間100万円未満
  • □ サーバーの管理を外部に丸投げしている
  • □ セキュリティの勉強会をしたことがない

外部要因:

  • □ 大企業と取引がある
  • □ 競合他社が多い業界にいる
  • □ 最近、同業他社でサイバー攻撃被害があった
  • □ 海外との取引がある

危険度判定:

  • 8個以上該当:非常に高リスク。今すぐ対策が必要です
  • 5-7個該当:高リスク。早急な対策検討を推奨します
  • 3-4個該当:中リスク。基本的な対策から始めましょう
  • 1-2個該当:低リスク。でも油断は禁物です
  • 0個:現時点でのリスクは低いですが、定期的に確認しましょう

最低限知っておくべき用語集

攻撃に関する用語

DDoS攻撃を理解するために、最低限知っておくべき用語を日常の言葉で説明します。カタカナや専門用語は使わず、誰でも分かる例えで解説していきます。

サーバー(お店の建物)
お店でいうと「店舗」にあたります。Webサイトの情報を保管して、お客様に提供する場所です。24時間365日営業している特別なコンピュータで、世界中からアクセスを受け付けています。大きなお店(大企業)は立派な建物(高性能サーバー)を持っていますが、小さなお店(中小企業)は小さな建物で営業しています。
IPアドレス(住所)
インターネット上の「住所」です。「192.168.1.1」のような数字の組み合わせで表され、家の住所と同じで、どこから来たかが分かります。DDoS攻撃では、偽の住所を使って素性を隠しながら攻撃してきます。郵便で言えば、差出人の住所を偽って迷惑な手紙を大量に送りつけるようなものです。
ボットネット(ゾンビの軍団)
ウイルスに感染した大量のパソコンやスマホの集まりです。持ち主は自分の機器が感染していることに気づかず、知らないうちに攻撃に加担させられています。映画のゾンビのように、悪い親玉に操られて、一斉に攻撃を仕掛けてきます。世界中に散らばった数万台の機器が、同時に1つのWebサイトを攻撃することもあります。
トラフィック(交通量)
道路の交通量と同じ意味で、インターネット上を流れるデータの量です。普段は適度な交通量(アクセス数)ですが、DDoS攻撃を受けると、高速道路が大渋滞するような状態になります。正常な車(本物のお客様)も、渋滞に巻き込まれて目的地(Webサイト)にたどり着けなくなります。
帯域幅(道路の広さ)
インターネットの通信路の太さ、つまり道路の車線数のようなものです。2車線の道路に1000台の車が同時に入ろうとしたら大渋滞しますよね。DDoS攻撃は、この道路を大量の偽の車(偽アクセス)で埋め尽くして、本物の車を通れなくする攻撃です。
パケット(小包)
インターネットでやり取りされるデータの小さな塊です。手紙を小包に分けて送るようなもので、普通は問題なく届きます。でもDDoS攻撃では、中身のない小包を**大量に送りつけて**、郵便局(サーバー)をパンクさせます。
ポート(窓口)
お店の受付窓口のようなものです。Webサイト用の窓口、メール用の窓口など、用途別に分かれています。DDoS攻撃では、特定の窓口に**集中的に押しかけて**、その窓口を使えなくします。
プロトコル(言葉のルール)
インターネットでの会話のルールです。日本語、英語のように、決まったルールで通信します。攻撃者は、このルールの隙間を突いて、**わざと処理に時間がかかる**ような通信を送ってきます。
ゾンビPC(感染したパソコン)
ウイルスに感染して、攻撃者に操られるようになったパソコンです。持ち主は普通に使っているつもりでも、**裏で勝手に攻撃に参加**させられています。あなたのパソコンも、知らないうちにゾンビになっているかもしれません。
ボット(ロボット)
自動で動くプログラムです。良いボット(検索エンジンなど)もいれば、悪いボット(攻撃用)もいます。DDoS攻撃では、**数万個の悪いボット**が一斉に動いて、Webサイトを攻撃します。

対策に関する用語

次に、DDoS攻撃から身を守るための対策に関する用語を説明します。これらを知っておくと、業者との話もスムーズに進みます。

ファイアウォール(門番)
お店の「警備員」の役割をする装置です。怪しい人(不正なアクセス)を入れないようにチェックします。ただし、普通の格好をした迷惑客(DDoS攻撃)は見分けるのが難しく、完全には防げません。優秀な警備員でも、お客様のふりをした1000人の迷惑客を見分けるのは困難なのです。
WAF(特別警備隊)
「ワフ」と読みます。Webサイト専門の「特別警備隊」です。普通の警備員(ファイアウォール)より賢くて、巧妙な攻撃も見抜けます。お客様の行動パターンを学習して、怪しい動きをする人を自動で見つけ出します。月額数万円から利用できるサービスもあります。
CDN(支店ネットワーク)
「シーディーエヌ」と読みます。お店の「支店ネットワーク」のようなものです。本店が混雑しても、お客様を自動的に空いている支店に案内します。世界中に支店(サーバー)を持っているので、攻撃を分散させて受け止めることができます。有名なのはCloudflare(クラウドフレア)というサービスで、無料プランもあります。
レート制限(入場制限)
遊園地の入場制限のようなものです。「1分間に100人まで」のように制限をかけて、それ以上は入れないようにします。同じ人が何度も並ぼうとしても、「さっき入ったでしょ」と断ることができます。これにより、1人で大量のアクセスをする攻撃を防げます。
IPブロック(出入り禁止)
迷惑なお客様を「出入り禁止」にすることです。一度迷惑行為をした人の顔(IPアドレス)を覚えておいて、次から入店を断ります。ただし、攻撃者は変装(IPアドレスの偽装)をしてくるので、完全には防げません。
負荷分散(レジの増設)
混雑時にレジを増やすような対策です。1つのレジ(サーバー)に行列ができたら、別のレジに誘導します。これにより、1箇所に集中する負荷を分散させることができます。

今すぐできる5つの対策

ステップ1:パスワードを強化する

パスワードは、あなたの会社を守る最初の防御線です。弱いパスワードは、泥棒に「どうぞお入りください」と言っているようなものです。今すぐ以下の手順で強化しましょう。

  1. 現在のパスワードの確認方法

    • まず、使っているパスワードを紙に書き出す(パソコンには保存しない)
    • 同じパスワードを使い回している箇所に印をつける
    • 8文字以下の短いパスワードに二重線を引く
  2. 強いパスワードの作り方

    • 好きな歌の歌詞の頭文字を使う方法
      例:「さくらさくらみなかみは」→「SsMnKmH2025!」
    • 思い出の場所と年号を組み合わせる
      例:「新宿で2020年に起業」→「Sinjuku@2020-Kigyo」
    • 意味のない文字列より、覚えやすい長いフレーズの方が安全
  3. パスワード管理ツールの使い方

    • 無料:Bitwarden(ビットワーデン)がおすすめ
    • スマホアプリもダウンロードして同期設定
    • マスターパスワードだけ覚えれば、他は自動生成
パスワードの種類 悪い例 良い例 理由
個人用 password123 MyDog*Pochi#2019Born 長く複雑で推測困難
会社メール company01 Sales@Tokyo!Office#3F 部署と場所を組み合わせ
ネットバンク 19850315(誕生日) Ginko$Yotsuya&Start2020 個人情報を使わない
SNS 同じものを使い回し Twitter=Blue#Bird*Fly サービスごとに変える
管理画面 admin Control@Panel$2025Ver3 推測されやすい単語を避ける

ステップ2:不審なメールに注意

怪しいメールは、DDoS攻撃の入口になることが多いです。以下のポイントをチェックして、被害を防ぎましょう。

見分け方のポイント:

  • 送信者のメールアドレスをよく見る
    本物:amazon.co.jp
    偽物:arnazon.co.jp(rnがmに見える)

  • 日本語がおかしくないかチェック
    「お客様の様、こんにちわ」→ 明らかに変
    「至急確認をお願い致したいます」→ 文法が変

  • リンクにカーソルを合わせて確認
    マウスを乗せるだけ(クリックしない)
    左下に表示されるURLを確認

  • 添付ファイルは開かない
    特に.exe .zip .xlsm は危険
    PDFも最近は危険な場合がある

  • 緊急を装う内容に注意
    「24時間以内に対応しないとアカウント削除」
    「今すぐ確認しないと法的措置」

ステップ3:定期的なアップデート

古いシステムは、穴だらけの家のようなものです。定期的な更新で、その穴を塞ぎましょう。

Windows Update(毎月第2水曜日)
設定→更新とセキュリティ→Windows Update→自動更新をオン。毎月第2水曜日に配信されるので、翌日には適用されているか確認。再起動が必要な場合は、業務終了後に実施。
ブラウザ(Chrome、Edge、Safari)
最新版への更新は自動で行われますが、時々確認が必要。Chromeなら右上の3つの点→ヘルプ→Google Chromeについて、で確認。「最新です」と出ればOK。
セキュリティソフト
ウイルス定義ファイルは毎日自動更新されるよう設定。年に1回は契約更新を忘れずに。無料版を使っている場合は、有料版への切り替えを検討。
Adobe Reader / Flash
PDFを見るソフトも狙われやすい。自動更新をオンに。Flashは2020年末でサポート終了なので、まだ使っている場合は即削除。
Java
使っていなければアンインストール。必要な場合は、必ず最新版に。古いバージョンは穴だらけで危険。
ルーター(3ヶ月に1回)
192.168.1.1などをブラウザに入力して管理画面へ。ファームウェア更新があるか確認。やり方が分からない場合は、メーカーのサポートに電話。

ステップ4:バックアップを取る

DDoS攻撃と一緒に、データを破壊する攻撃を受けることもあります。バックアップは保険だと思って、必ず実施しましょう。

3-2-1ルールの説明:

  • 3つのコピーを作る

    • オリジナル(パソコンの中)
    • バックアップ1(外付けハードディスク)
    • バックアップ2(クラウドサービス)
  • 2種類の異なる媒体に保存

    • 物理媒体(USBメモリ、外付けHDD)
    • デジタル媒体(クラウド、別のパソコン)
  • 1つは別の場所に保管

    • クラウドは自動的に別場所
    • USBメモリは自宅と職場で分ける

おすすめのバックアップ方法:

  1. 重要なファイルをフォルダ分けする
  2. 毎週金曜日の終業時にバックアップ
  3. 月1回は復元テストを実施
  4. バックアップの履歴を記録

ステップ5:相談先を確保する

いざという時、一人で悩まないことが大切です。事前に相談先をリストアップしておきましょう。

相談内容 相談先 連絡先 対応時間 料金
緊急時の相談 IPA相談窓口 03-5978-7509 平日10-12時、13:30-17時 無料
被害の通報 警察サイバー110番 #9110 24時間対応 無料
消費者相談 消費生活センター 188 地域により異なる 無料
技術的相談 JPCERT/CC 03-6271-8901 平日9-18時 無料
法律相談 弁護士会 各地域の弁護士会 予約制 30分5000円程度
システム復旧 IT業者 契約先に確認 業者による 有料

準備しておくこと:

  • 緊急連絡先を紙に印刷して、見える場所に貼る
  • スマホの電話帳に「緊急」フォルダを作って登録
  • 社内の緊急連絡網を作成
  • 取引先のIT担当者の連絡先も確認

内部リンクでさらに詳しく

DDoS攻撃について基本的なことは理解できましたか?さらに詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。


FAQ(よくある質問)

Q: うちは小さい会社だから狙われないのでは?
A: 残念ながら、それは大きな誤解です。むしろ中小企業の方が狙われやすいのが現実です。理由は、セキュリティ対策が甘く、IT専門家もいないことが多いから。また、大企業への攻撃の踏み台として利用されることも多いです。実際、2024年のDDoS攻撃の70%以上が中小企業を標的にしていました。「小さいから大丈夫」ではなく、「小さいからこそ狙われる」と考えて、基本的な対策だけでも実施することが大切です。
Q: 無料でできる対策だけで大丈夫?
A: 個人のブログや小規模なサイトなら、無料対策でもある程度は防げます。Cloudflareの無料プランは優秀で、小規模な攻撃なら十分防げます。ただし、ビジネスで重要なサイト、特にECサイトや予約システムなど、売上に直結するサービスは有料対策(月額2,000円〜)を強く推奨します。無料プランだと、大規模な攻撃の際にサービスが制限されることもあります。まずは無料で始めて、必要に応じてグレードアップする方法がおすすめです。
Q: 攻撃されているかどうかはどうやって分かる?
A: いくつかの兆候があります。①Webサイトの表示が異常に遅い、②「サイトが見れない」という問い合わせが複数来る、③サーバーの管理画面でCPU使用率が常に100%近い、④アクセスログに同じIPアドレスからの大量アクセスがある、⑤いつもの10倍以上のアクセス数がある。これらの症状が複数当てはまったら、DDoS攻撃の可能性が高いです。すぐにホスティング会社に連絡し、対策を相談しましょう。早期発見・早期対応が被害を最小限に抑える鍵です。
Q: スマホからも攻撃されることはある?
A: はい、十分にあり得ます。特にAndroidスマホは狙われやすく、不正アプリをインストールしてしまうと、あなたのスマホが攻撃の道具にされる危険があります。知らないうちに大量の通信を行い、通信料が異常に高くなったり、電池の減りが早くなったりします。対策として、①アプリは必ず公式ストアから、②不要な権限を要求するアプリは削除、③OSは常に最新版に更新、④セキュリティアプリの導入、を心がけてください。あなたのスマホが犯罪に使われないよう注意しましょう。
Q: 社員が少ないけど対策は必要?
A: 社員が1人でも100人でも、インターネットを使っている限り対策は必要です。むしろ社員が少ない会社ほど、一人一人の責任が重要になります。全員がセキュリティ意識を持つことが大切です。まずは、①パスワードの強化、②不審メールへの注意、③定期的なアップデート、この3つから始めましょう。月1回、15分程度の勉強会を開くだけでも、セキュリティレベルは大幅に向上します。「人数が少ないから無理」ではなく、「少ないからこそ全員で守る」という意識が重要です。
Q: クラウドサービスを使っていれば安全?
A: クラウドサービス(Google WorkspaceやMicrosoft 365など)は、自社でサーバーを持つよりは安全性が高いです。大手クラウド会社は高度なDDoS対策を実施しています。ただし、完全に安全というわけではありません。①アカウントの乗っ取り、②設定ミスによる情報漏洩、③クラウド会社自体への攻撃、などのリスクは残ります。クラウドを使っていても、パスワード管理、二要素認証、定期的なバックアップなどの基本対策は必須です。「クラウドだから大丈夫」ではなく、「クラウド+自社対策」で二重の防御を心がけましょう。
Q: 対策にはいくらくらいかかる?
A: 予算に応じて段階的に対策できます。【無料〜月1000円】基本対策:パスワード管理ツール、Cloudflare無料プラン、Windows Defenderなど。【月1000〜1万円】中級対策:有料セキュリティソフト、CDNの有料プラン、定期バックアップサービス。【月1万円以上】本格対策:WAF導入、24時間監視サービス、専門業者との保守契約。まずは無料対策から始めて、事業規模に応じて段階的に投資を増やすのが現実的です。年商の0.5〜1%程度をセキュリティ予算の目安にすると良いでしょう。

まとめ:今日からできる第一歩

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。DDoS攻撃について、少しは「分かった!」と思っていただけたでしょうか。

最後に、今日からできることをもう一度整理します:

  1. パスワードを1つでも変更する(所要時間:5分)
  2. 不審メールの見分け方を同僚と共有(所要時間:10分)
  3. Windows Updateの確認(所要時間:3分)
  4. 重要なファイルをUSBにコピー(所要時間:15分)
  5. IPA相談窓口の電話番号をメモ(所要時間:1分)

完璧を求める必要はありません。できることから、一つずつ始めれば良いのです。

DDoS攻撃は確かに恐ろしい攻撃ですが、基本的な対策をしっかり行えば、被害を最小限に抑えることができます。「知識と準備」があれば、恐れる必要はありません。

この記事が、あなたの会社を守る最初の一歩になれば幸いです。


【重要なお知らせ】

  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する助言ではありません
  • 実際にDDoS攻撃の被害に遭われた場合は、警察(#9110)やJPCERT/CCなどの公的機関にご相談ください
  • 法的な対応が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください
  • 記載内容は作成時点の情報であり、攻撃手法は日々進化している可能性があります
  • セキュリティ対策に「完全」はありません。継続的な改善が重要です

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初稿公開

京都開発研究所

システム開発/サーバ構築・保守/技術研究

CMSの独自開発および各業務管理システム開発を行っており、 10年以上にわたり自社開発CMSにて作成してきた70,000以上のサイトを 自社で管理するサーバに保守管理する。