「免疫力アップ」は薬機法違反?NG表現である理由と正しい言い換え5選を徹底解説
あなたの会社の健康食品やサプリメントの広告・LP・SNSに、「免疫力アップ」「免疫力を高める」「免疫力を上げる成分配合」といった表現はありませんか?
この『免疫力アップ』という表現は、特にコロナ禍以降、健康食品・サプリの広告で急増した表現のひとつです。
しかし薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の観点から、免疫機能という身体の生理的機能への影響を示す表現として問題視されるリスクがあります。
この記事を読むと、以下のことが分かります。
・『免疫力アップ』がなぜ薬機法上の問題になる可能性があるのか、条文レベルで理解できる
・一見セーフに見えるグレーゾーン表現のパターンが分かる
・マーケティング効果を落とさずに使えるOK言い換え表現が7例以上得られる
・行政指導に至ったNG事例から学べる
・今すぐ自社コンテンツを点検できるチェックリストが手に入る
| 【この記事のポイント】 『免疫力アップ』は薬機法第66条(誇大広告等の禁止)および第2条第1項③(身体の機能に影響を及ぼすことが目的)に抵触する可能性がある医薬品的効能効果の標ぼう表現です。 免疫機能という身体の生理的機能の向上を示す表現として、健康食品・サプリメントの広告での使用には十分な注意が必要です。 |
そもそも薬機法とは?基礎から分かりやすく解説
薬機法とは、医薬品・医薬部外品・化粧品・医療機器などの「品質・有効性・安全性の確保」を目的とした法律です(第1条)。
一言で言えば、「効くと誤解させる情報を発信して消費者を騙してはいけない」ための規制です。
■なぜここまで厳しいのか?
消費者が「この商品を使えば症状が良くなる」と信じて、本来必要な医療を受けなかった場合、深刻な健康被害が生じる可能性があります。
薬機法はそうした事態を防ぐために、医薬品でない商品(健康食品・サプリ等)が医薬品のような効能をうたうことを規制しています。
重要なのは、この規制が「何人も」(薬機法第66条冒頭)に適用されるという点です。
法人・個人事業主はもちろん、インフルエンサー・アフィリエイターも規制の対象となる可能性があります。「知らなかった」は免責になりません。
| 📌 ここがポイント Instagram・X(旧Twitter)・TikTok・YouTube・ブログ・LPなど、あらゆるデジタル媒体が規制対象となる可能性があります。「SNSの投稿だから大丈夫」は誤解です |
■ 表①:薬機法違反が認定された場合に想定されるペナルティ一覧
💬 専門家コメント(久保日向太 / YMAA個人認証保持)
「免疫力アップ」は、コロナ禍以降に一気に使用頻度が上がり、それと同時に行政指導の件数も増えた表現のひとつです。
「免疫力」という言葉に消費者が期待するものは感染症にかかりにくくなること、つまり疾病の予防です。これは薬機法が最も厳しく規制する領域です。
「免疫力アップ」はなぜNGなのか?法令根拠と判断基準
『免疫力アップ』という表現がなぜ問題になる可能性があるのか、3つのステップで整理します。
■Step1:消費者はどう受け取るか
「このサプリで免疫力がアップする」という表現を見た消費者は、その商品に免疫機能を向上させる医薬品的効果があると受け取る可能性があります。
「免疫力アップ」は特に感染症予防を連想させやすい表現であるため、消費者の医薬品的効果への誤認リスクが高い言葉です。
■Step2:薬機法上どう判断される可能性があるか
薬機法第2条第1項③は「人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされている物」を医薬品と定義しています。
「免疫力アップ」という表現は免疫機能という身体の生理的機能の向上を示す表現として、薬機法第66条第1項に抵触する可能性があります。
■Step3:行政処分のリスクはどの程度か
消費者庁・都道府県の薬務担当部署が広告の監視を行っています。
「免疫力」という言葉は感染症関連の訴求と結びつきやすいため特に監視対象となりやすく、発覚した場合に行政指導・行政処分のルートに乗る可能性があります。
■ 表②:「免疫力アップ」がNG判断される可能性がある基準の整理
| 📌 ここがポイント 「免疫力アップ」は一般的に広く使われているため「大丈夫な言葉」と思われがちです。しかしこの表現は薬機法が規制する「身体機能への影響標ぼう」の典型例であり、特に感染症予防を連想させる文脈では一気にリスクが高まります。 |
要注意!「免疫力アップ」に似た「グレーゾーン表現」一覧
「免疫力アップ」を避けたつもりでも、同様のリスクを持つ表現が数多く存在します。以下の一覧で確認してください。
■ 表③:「免疫力アップ」関連のNG・グレーゾーン・比較的安全な表現一覧
■健康食品・サプリでよくやりがちなNGパターン3つ
①「〇〇で免疫力アップ」の成分訴求:
「乳酸菌で免疫力アップ」「〇〇成分が免疫力をアップさせる」のように、成分名と免疫力向上を組み合わせた表現は特に問題となる可能性が高いです。
②感染症予防との組み合わせ:
「免疫力アップで風邪に負けない体へ」「免疫力を高めてウイルスを防ぐ」のように、感染症・疾病予防と組み合わせることで一気にリスクが高まります。
③季節訴求との組み合わせ:
「冬に向けて免疫力アップ」「花粉シーズン前に免疫力を高める」のような季節性の訴求も、疾病予防の文脈になる可能性があるため注意が必要です。
SNS特有のNGパターン 「#免疫力アップ」「#免疫力を高める」のようなハッシュタグも、広告と判断される場合には規制対象となる可能性があります。
特に感染症が流行している時期は監視が強化される傾向があります。
| 📌 ここがポイント 「免疫力アップ」は消費者の関心が高い言葉だからこそ、訴求力があります。しかしその訴求力の源泉が「疾病予防への期待」であるため、薬機法上の問題となるリスクが特に高くなります。 |
これならOK!リスクを大幅に下げられる言い換え表現集
以下の言い換え表現は、効能・効果・身体機能への影響を一切示さないよう設計しています。
ただし、表現の文脈・組み合わせによっては問題となる可能性もゼロではないため、最終的な判断は専門家への確認を推奨します。
■ 表④:NG→安全な言い換え一覧
■業種別の使い方例
①健康食品EC:「毎日の習慣に」「元気な毎日を過ごしたい方へ」「毎日のコンディション管理に」
②サプリEC:「こだわりの原材料を配合」「毎日続けやすい設計です」
③定期購入LP:「〇〇が気になり始めた方へ」「毎日の習慣にプラスするだけ」
■言い換えてもマーケティング効果を落とさないために
「免疫力アップ」を削ると訴求力が下がると感じる方は多いですが、「どんな方に」「どんな生活シーンで」使ってほしいかを具体的に書くことで、ターゲットへの共感が生まれやすくなります。
「免疫力アップ」より「寒い季節も元気に過ごしたい40代の方の毎日の習慣に」のほうが、ペルソナに響き、かつリスクを大幅に下げられる可能性があります。
専門家コメント(久保日向太 / YMAA個人認証保持)
免疫力系の言い換えで最も効果的なのは「季節感+生活シーン」の組み合わせです。
「免疫力アップ」→「寒い季節も元気に過ごしたい方の習慣に」。季節感を保ちながら、免疫という言葉を使わずに訴求できます。消費者は「自分の生活に合いそう」という共感から購入を検討します。
実際のNG事例から学ぶ
実際に問題とされた表現のパターンを2例紹介します。特定の企業を指すものではなく、業界で見られるNG事例のパターンとしてご参照ください。
NG事例①:「乳酸菌で免疫力アップ」を商品キャッチに使用したケース
健康食品のECサイトで「乳酸菌配合で免疫力アップ!毎日続けて風邪知らずの体へ」というキャッチコピーを使用していたNG事例があります。成分名・免疫力向上・疾病予防の3つを組み合わせた表現が、医薬品的効能効果の標ぼうとして問題視された事例です。
NG事例②:「感染症対策に免疫力アップ」という季節訴求を使用したケース
感染症流行期に「ウイルス対策には免疫力アップが大切!〇〇サプリで免疫力を高めましょう」という広告を配信していたNG事例があります。感染症対策という疾病予防の文脈と免疫力向上を組み合わせた表現が特に問題視された事例です。
課徴金の具体的な計算例(参考)
薬機法の課徴金制度(令和3年8月施行)では、違反期間中の対象製品売上の4.5%が課徴金として算定される可能性があります。
以下はあくまで計算の参考例です。
■ 課徴金の計算参考例
刑事罰(2年以下の懲役・200万円以下の罰金)とは別途、課徴金が科される可能性があります。
| 📌 ここがポイント 「知らなかった」「意図していなかった」は免責事由になりません。消費者が誤解する可能性があるかどうかが判断の視点です。気づいた時点で速やかに修正することが重要です。 |
今すぐできる!自社コンテンツ点検チェックリスト
■LP・ランディングページに「免疫力アップ」「免疫力を高める」「免疫力を上げる」という表現がないか
→ 確認できたら即座に削除し、「毎日のコンディション管理に」等の表現に置換する
■Instagram・X・TikTok・Facebookの投稿に「免疫力」という言葉を使った表現がないか
→ 該当する投稿は非表示または削除を
■検討する感染症・風邪・ウイルスと「免疫力」を組み合わせた表現がないか
→ 疾病予防との組み合わせは特に問題となる可能性が高い
■お客様の声・体験談コーナーに「免疫力が上がった」という表現がないか
→ 免疫機能向上の表現そのものを削除する
■商品説明に「〇〇成分が免疫力をアップさせる」という成分訴求がないか
→ 成分と免疫力向上の組み合わせは特に問題となる可能性がある
■メールマガジン・LINE配信文に「免疫力」系の表現がないか
→ 感染症流行期の配信に特に注意する
■ハッシュタグに「#免疫力アップ」「#免疫力を高める」がないか
→ 該当投稿のハッシュタグを修正または投稿を削除する
■広告バナー・画像テキストに「免疫力」が含まれていないか
→ 画像内のテキストも規制対象となる可能性がある
■アフィリエイター・インフルエンサーへの依頼内容に「免疫力」系の訴求を含めていないか
→ 依頼者にも責任が及ぶ可能性がある
■社内スタッフ・外注ライターへの表現ガイドラインに「免疫力」のNGが明記されているか
→ 感染症流行期は特に意識的にチェックする
■競合他社の「免疫力アップ」表現を参考にしていないか
→ 他社がNGワードを使っていることは、自社が使う根拠にはならない
■直近3ヶ月の広告配信の広告文を確認したか
→ 広告審査の通過は薬機法違反の免責にならない
| 📌 ここがポイント SNS・LP・メルマガ・パッケージ・口コミ返信、すべてが薬機法の「広告」となる可能性があります。媒体を問わず横断的に点検することが重要です。 |
実際にいただいたよくある質問
Q1:「免疫力アップ」を使った過去の広告はどうすればいいですか?
今すぐ修正・削除することを最優先に検討してください。特に感染症流行期に配信した広告は記録が残りやすく、発覚リスクが高まっています。気づいた時点で速やかに自主的に修正することが最も重要なリスク管理です。
Q2:「免疫力をサポートする」という表現はセーフですか?
「サポートする」を加えても、「免疫力」という機能向上を連想させる言葉の使用自体がリスクを持ちます。消費者が免疫機能の向上を期待する可能性がある場合、問題となる可能性があります。「毎日のコンディション管理をサポートしたい方へ」等の表現への置き換えを推奨します。
Q3:お客様が「免疫力が上がりました」と書いたSNSコメントはどう対処すればいいですか?
第三者が自発的に書いたものであっても、事業者が「いいね」「リポスト」「引用」した時点で事業者の表示とみなされる可能性があります。免疫機能向上を示す口コミへは返信しない、または「個人の感想です。効果・効能を示すものではありません」と明示する対応が現実的です。
Q4:「体のバリア機能をサポートする」という表現はセーフですか?
「バリア機能」という表現は「免疫力」を婉曲的に示している可能性があるとして、文脈次第で問題となる可能性があります。「毎日の習慣づくりをサポートしたい方へ」等のより安全な表現への置き換えを推奨します。
Q5:行政から指摘を受けたらまず何をすべきですか?
①問題の表現を即座に削除・修正する、②行政からの照会・調査には誠実に応じる、③必要に応じて法令の専門家(弁護士・薬機法コンサルタント)に相談する、の3ステップが基本です。
この記事で学んだこと
①『免疫力アップ』は薬機法第66条・第2条1項③に抵触する可能性がある身体機能への影響標ぼう表現であり、感染症予防との組み合わせで特にリスクが高まる
②「何人も」規制の対象であり、感染症流行期の広告・ハッシュタグを含むすべての媒体が規制対象となる可能性がある行政処分が認定された場合、刑事罰に加え、売上の4.5%(最大3年分)の課徴金が科される可能性がある
③「免疫力アップ」は「元気な毎日を過ごしたい方の習慣に」「毎日のコンディション管理に」などに置き換えることで、マーケティング効果を維持しつつ法的リスクを大幅に下げられる可能性がある
④感染症流行期こそ監視が強化される。流行期に合わせた特別な訴求は特に慎重に判断することが重要
✍️ 本記事の著者・監修者久保 日向太(Kubo Hinata)株式会社ガーディアン
薬機法・景表法・特商法に関する複数の法令資格を保持|YMAA個人認証保持
法令マーケティングのコンサルティング業務を通じて、薬機法・景表法・特商法の「攻めと守りの両立」を支援中。
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