セキュリティポリシー/リスク管理とは?
セキュリティポリシー/リスク管理とは、組織が情報資産を守るために定めるルールの策定と、サイバー攻撃などの脅威が発生する可能性とその影響を評価・対処する仕組みです。ルールと備え(GRC)の中核となる活動で、組織全体のセキュリティ対策の基準と優先順位を決める重要な取り組みです。どのようなデータを、どう守り、問題が起きたらどう対応するかを事前に決めておくことで、被害を最小限に抑えることができます。
セキュリティポリシー/リスク管理を簡単に言うと?
家の防犯対策に例えると、セキュリティポリシーは「家族みんなで守る防犯ルール」です。玄関の施錠方法、来客対応の仕方、貴重品の保管場所などを家族全員で決めて守ることです。リスク管理は「泥棒に入られる可能性とその対策を考えること」です。どの窓が狙われやすいか、どこに防犯カメラを設置すべきか、保険はどれくらい必要かを判断します。この2つを組み合わせることで、家族と財産を効果的に守ることができるのと同じです。
セキュリティポリシー/リスク管理で発生する被害は?
セキュリティポリシーやリスク管理が不適切な場合、組織はサイバー攻撃に対して無防備な状態となります。ルールがないため社員の行動がバラバラになり、リスクを把握していないため重要な対策が後回しになります。結果として、防げたはずのセキュリティ事故が発生し、想定以上の被害を受ける可能性が高まります。
セキュリティポリシー/リスク管理の不備で発生する直接的被害
セキュリティポリシー/リスク管理の不備で発生する間接的被害
- 信頼失墜と顧客離れ
セキュリティ対策の基準が曖昧だったため、度重なる情報漏洩により企業の信頼が失墜し、取引先や顧客が競合他社へ流出する
- コンプライアンス違反による制裁
業界規制や法令要件を満たすポリシーがないため、監査で不適合と判定され、営業停止処分や高額な制裁金を科される
- 事業機会の損失
セキュリティ管理体制が不十分なため、大手企業との取引審査に通らず、重要な商談や入札案件への参加資格を失う
セキュリティポリシー/リスク管理の対策方法
セキュリティポリシー/リスク管理を適切に実施するには、まず組織の情報資産を洗い出し、それぞれの重要度を評価します。次に、考えられる脅威と脆弱性を特定し、発生確率と影響度からリスクレベルを判定します。そのうえで、リスクに応じた対策を盛り込んだセキュリティポリシーを策定し、全社員に周知徹底します。定期的な見直しと改善により、常に最新の脅威に対応できる体制を維持することが重要です。
セキュリティポリシー/リスク管理の対策を簡単に言うと?
健康管理に例えると、まず健康診断で自分の体の状態を把握します。血圧が高い、運動不足などのリスクを見つけたら、その深刻さを判断します。そして「毎日30分歩く」「塩分を控える」といった生活ルールを決めて実行します。定期的に健康診断を受けて、ルールを見直していくのと同じです。会社の情報も、まず現状を把握し、リスクを見つけ、守るためのルールを作って実行し、定期的に見直すことで、サイバー攻撃から効果的に守ることができます。
セキュリティポリシー/リスク管理に関連した攻撃手法
ルールと備え(GRC)の観点から、セキュリティポリシー/リスク管理と密接に関連する3つの要素を解説します。
- サードパーティリスク
セキュリティポリシーでは取引先や委託先のセキュリティ基準も定める必要があります。リスク管理では、サードパーティ経由でのサイバー攻撃や情報漏洩の可能性を評価し、契約条項や監査要件を決定します。サプライチェーン全体のセキュリティを確保するため、ポリシーとリスク管理が不可欠です。
- 脆弱性管理・パッチ運用
リスク管理で特定した脆弱性への対応方針をセキュリティポリシーで規定します。パッチ適用の優先順位やタイミングは、リスク評価に基づいて決定され、ポリシーで手順化されます。両者が連携することで、効率的な脆弱性対策が実現します。
- インシデント対応計画
セキュリティポリシーで定めた基準に違反する事象が、インシデント対応の対象となります。リスク管理で想定したシナリオに基づいて、インシデント対応計画を策定し、ポリシーで役割と責任を明確化します。事前のリスク評価が、迅速な対応を可能にします。
セキュリティポリシー/リスク管理のよくある質問
規模に関わらず必要です。小規模でも顧客情報や業務データは狙われます。最初は基本的なパスワード管理やデータ保管のルールから始め、徐々に充実させていくことが推奨されます。
最低でも年1回の定期見直しが推奨されます。ただし、新しいシステム導入時、重大なセキュリティ事故の発生時、法規制の変更時などは、その都度見直しが必要です。
まず、なぜ必要かを分かりやすく説明する教育が重要です。実際の被害事例を共有し、定期的な訓練を実施します。また、守りやすい現実的なルールにすることも大切です。
初回や重要な評価は専門家の支援を受けることが効果的です。ただし、日常的なリスク管理は社内で実施できるよう、評価手法を学び、体制を整えることが重要です。
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