ロマンス詐欺とは?初心者向け5分解説

SNSで知り合った外国人から投資を勧められていませんか?それはロマンス詐欺かもしれません。恋愛感情を巧みに利用して金銭を騙し取るこの犯罪は、2024年だけで156億円もの被害を生んでいます。本記事では、従来の結婚詐欺との違いから最新の手口まで、5分で理解できるよう分かりやすく解説します。

ロマンス詐欺を一言で説明すると

ロマンス詐欺とは、恋愛感情を利用して金銭を騙し取るオンライン詐欺です。詐欺師は架空の人物を演じ、被害者と恋愛関係を装いながら、最終的に「投資」「借金返済」「渡航費用」などの名目でお金を要求します。

簡単に言うと?

ロマンス詐欺は「恋愛という仮面をかぶった劇場型詐欺」です。詐欺師は脚本家兼俳優となり、あなたを観客ではなく共演者として舞台に引き込みます。甘い言葉のセリフ、計算された展開、そして最後には必ず「お金が必要」という結末が待っています。

**本質的な特徴**
・実在しない人物や偽のプロフィール
・会ったことがない相手との恋愛関係
・感情操作による判断力の低下
・最終目的は必ず金銭の詐取

なぜ「ロマンス詐欺」と呼ばれるのか

名称 由来 使用地域
ロマンス詐欺 Romance Scamの直訳 日本・世界共通
恋愛詐欺 恋愛感情の悪用から 主に日本
国際ロマンス詐欺 海外が絡む場合 日本独自
結婚詐欺(新型) 従来の結婚詐欺との区別 日本の一部

従来の結婚詐欺との3つの違い

ロマンス詐欺は、昔からある結婚詐欺とは全く異なる特徴を持っています。詐欺・なりすまし(人の心理を狙う)カテゴリーの中でも、特にデジタル技術を駆使した新しいタイプの犯罪です。

違い1:実際に会わない

**従来の結婚詐欺**
実際に対面で会い、食事やデートを重ねながら信頼関係を構築。物理的な接触があり、詐欺師も実在の人物として活動していました。
**ロマンス詐欺**
一度も会うことなく、オンラインのみで関係が進展。ビデオ通話も避け、写真とメッセージだけでやり取り。詐欺師の正体は最後まで不明なケースがほとんどです。

違い2:国際的な組織犯罪

**従来の結婚詐欺**
個人または小規模グループによる犯行。日本国内で完結することが多く、詐欺師も日本人が中心でした。
**ロマンス詐欺**
国際的な犯罪組織が関与。アフリカ、東南アジア、東欧などに拠点を置く組織が、マニュアル化された手法で大量の被害者を同時に狙います。一人の詐欺師が数十人の被害者と同時にやり取りすることも。

違い3:投資話との組み合わせ

項目 従来の結婚詐欺 ロマンス詐欺
金銭要求の名目 借金、病気、事業失敗 投資、暗号資産、FX
要求額 数十万~数百万円 数百万~数千万円
詐取方法 現金、振込 暗号資産、海外送金
回収可能性 低い 極めて低い

典型的な流れ(4ステップ)

ロマンス詐欺は、心理学的に計算された4つのステップで進行します。各段階でソーシャルエンジニアリングの手法が使われ、被害者の警戒心を徐々に解いていきます。

ステップ1:接触と関係構築(1-2週間)

**初期接触の手法**
SNSで「いいね」やフォローから始まり、「素敵な写真ですね」などの褒め言葉でDMを送信。マッチングアプリでは、理想的なプロフィールで興味を引き、積極的にアプローチしてきます。
**プロフィールの特徴**
・外国人(欧米系、アジア系)
・高収入職業(医師、軍人、投資家)
・離婚歴あり、子供あり(同情を誘う)
・趣味や価値観があなたと一致

ステップ2:親密化と感情操作(2-4週間)

**ラブボンビング(愛情爆撃)**
毎日大量のメッセージ、「運命の相手」「ソウルメイト」などの言葉、将来の約束(結婚、同居)、あなただけが特別という演出。この段階で、被害者は相手に心理的に依存し始めます。
**情報収集**
家族構成、仕事、収入、資産状況などを巧妙に聞き出します。これは後の金銭要求額を決定するための重要な情報となります。

ステップ3:問題発生と金銭要求(4-8週間)

**典型的なシナリオ**
「一緒に将来のために投資しよう」「特別な投資情報がある」「荷物を送ったが税関で止められた」「家族が病気で手術費が必要」など。必ず緊急性と感情に訴える要素が含まれます。
**段階的な要求**
最初は少額(数万円)から始め、徐々に高額化。一度送金すると「もう少しで解決する」と追加要求が続きます。

ステップ4:搾取と消失(継続または突然終了)

パターン 特徴 被害額
継続型 小額を長期間要求 累計で高額に
一発型 高額を一度に要求 数百万円以上
投資型 偽サイトで継続搾取 数千万円も
脅迫転換型 親密な写真で脅迫 精神的被害大

被害データ(最新統計)

2024年最新の被害状況

**警察庁発表データ(2024年1-9月)**
・被害件数:2,884件(前年同期比72%増)
・被害総額:約156億円(前年同期比89%増)
・平均被害額:約540万円
・最高被害額:1億2,000万円
**被害者の特徴**
・年齢:30-50代が全体の68%
・性別:女性62%、男性38%
・職業:会社員45%、自営業18%、主婦15%
・地域:都市部65%、地方35%

被害の推移と予測

被害件数 被害総額 特徴
2022年 1,575件 92億円 認知度向上期
2023年 2,322件 177億円 急増期
2024年(推計) 3,500件 210億円 手口巧妙化
2025年(予測) 4,000件以上 250億円以上 AI悪用懸念

手口の最新トレンド

**暗号資産投資型(全体の65%)**
偽の投資サイトに誘導し、最初は少額の利益を見せて信用させる。その後、高額投資を促し、出金できなくして姿を消す。**フィッシング詐欺**の手法も組み合わされます。
**AI・ディープフェイク活用型(増加中)**
AIで生成した架空の人物画像を使用。音声もAIで生成し、ビデオ通話にも対応し始めている。本物と見分けがつかないレベルに到達しつつあります。

今すぐできる3つの対策

対策1:相手の真偽を確認する

**画像検索で写真をチェック**
Google画像検索やTinEyeを使い、プロフィール写真が他で使われていないか確認。詐欺師は、インスタグラムやモデルサイトから写真を盗用することが多いです。
**ビデオ通話を要求**
リアルタイムでのビデオ通話を提案。詐欺師は必ず理由をつけて拒否します。「今すぐ5分だけ」と突然要求すると、準備ができずボロが出ます。

対策2:金銭要求は100%詐欺と認識

要求内容 詐欺度 対応
投資話 100% 即ブロック
送金依頼 100% 即ブロック
口座情報要求 100% 即ブロック
荷物受取料 100% 即ブロック

真の恋愛関係では、会ったこともない相手にお金を要求することはありません。どんな理由でも、金銭が絡んだ時点で詐欺確定です。

対策3:第三者に相談する習慣

**信頼できる人に話す**
家族や友人に、やり取りの内容を見てもらいましょう。恋愛感情で盲目になっている時、第三者の冷静な視点が詐欺を見破る鍵となります。
**専門機関を活用**
消費生活センター(188)は、詐欺かどうか判断に迷った時の相談も受け付けています。恥ずかしがらず、早めの相談が被害を防ぎます。

関連する詐欺手口との比較

ロマンス詐欺は、他のサイバー犯罪と密接に関連しています。

**フィッシング詐欺との関連**
偽の投資サイトや取引所に誘導する手口は、フィッシング詐欺の典型例。ログイン情報を盗み、資産を奪い取ります。
**ビジネスメール詐欺(BEC)との類似性**
なりすましと心理操作で金銭を詐取する点で共通。企業を狙うBECに対し、ロマンス詐欺は個人が標的です。
**マルウェア感染のリスク**
送られてきたファイルやリンクからマルウェアに感染する危険も。個人情報の窃取や、さらなる詐欺被害につながる可能性があります。

よくある質問

Q: 本当に恋愛感情を持っている可能性はないのでしょうか?
A: 会ったことがない相手から金銭を要求された時点で、それは恋愛ではなく詐欺です。真の恋愛関係では、特に初期段階で金銭的な援助を求めることはありません。詐欺師は心理操作のプロフェッショナルで、あなたに「もしかしたら本物かも」と思わせることが仕事です。客観的に考えて、会ったこともない外国人があなただけを特別に愛し、すぐにお金が必要になる確率はゼロに等しいのです。
Q: 男性も被害に遭うのですか?
A: はい、男性の被害も急増しています。2024年のデータでは被害者の38%が男性です。男性を狙う詐欺師は、若い女性や未亡人を装い、投資話や困窮した状況を演出します。「男だから騙されない」という過信が、かえって被害を大きくすることもあります。性別に関係なく、誰もが被害者になり得ることを認識し、警戒することが重要です。
Q: どの段階なら引き返せますか?
A: 送金する前なら、いつでも引き返せます。たとえ個人情報を教えてしまっても、写真を送ってしまっても、お金を送らなければ金銭被害は防げます。「ここまで時間を使ったから」「相手を傷つけたくない」という感情は捨ててください。詐欺師にとって、あなたは多数の標的の一人に過ぎません。今すぐ連絡を断っても、相手は次の標的に移るだけです。引き返す勇気が、あなたの財産と心を守ります。

まとめ:知識と警戒心があなたを守る

ロマンス詐欺とは、恋愛感情を悪用した卑劣な犯罪です。しかし、手口を知り、警戒心を持つことで、必ず防ぐことができます。

重要なのは「会ったことがない相手からの金銭要求は100%詐欺」という認識です。どんなに魅力的な相手でも、どんなに説得力のある理由でも、この原則を守れば被害に遭うことはありません。

もし今、怪しいと感じる相手がいるなら、すぐに第三者に相談してください。恥ずかしさよりも、あなたの安全が何より大切です。


【重要なお知らせ】

  • 本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する助言ではありません
  • 実際に被害に遭われた場合は、警察(#9110)や消費生活センター(188)などの公的機関にご相談ください
  • 法的な対応が必要な場合は、弁護士などの専門家にご相談ください
  • 記載内容は作成時点の情報であり、手口は日々進化している可能性があります

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初稿公開

京都開発研究所

システム開発/サーバ構築・保守/技術研究

CMSの独自開発および各業務管理システム開発を行っており、 10年以上にわたり自社開発CMSにて作成してきた70,000以上のサイトを 自社で管理するサーバに保守管理する。