サードパーティリスクを初心者でも分かりやすく解説

あなたの会社は安全でも、取引先から攻撃される可能性があります。サードパーティリスクは、委託先、取引先、クラウドサービスなど、第三者のセキュリティ不備が自社に及ぼす脅威です。ルールと備え(GRC)の重要な要素として、どんなに自社のセキュリティを強化しても、弱い取引先が「裏口」となって被害を受ける可能性があります。本記事では、なぜ他社の問題が自社の脅威になるのか、どんな被害が発生するのか、そして安全なビジネスネットワークを構築するための実践的な対策について、専門知識がなくても理解できるように解説します。つながる時代のリスク管理を学びましょう。

サードパーティリスクとは?

サードパーティリスクとは、取引先、委託先、クラウドサービス提供者、サプライヤーなど、第三者組織のセキュリティ不備や問題が自社に影響を及ぼすリスクのことです。ルールと備え(GRC)の重要な管理対象として、直接攻撃されなくても、つながりのある他社がサイバー攻撃を受けたり、データ漏洩を起こしたりすることで、連鎖的に被害を受ける可能性があります。デジタル化により企業間の相互依存が深まる中、一社だけでセキュリティを強化しても、弱い取引先が「裏口」となって侵入される危険性が高まっています。

サードパーティリスクを簡単に言うと?

マンションのセキュリティに例えると、自分の部屋には最高級の鍵をつけて完璧に守っていても、隣の部屋の住人が鍵をかけ忘れたり、配達業者が勝手にオートロックを開けたりすると、そこから泥棒が入って自分の部屋まで被害が及ぶようなものです。会社も同じで、取引先A社がサイバー攻撃を受けると、A社と繋がっている自社のシステムも危険にさらされます。また、クラウドサービスが停止すれば、それを使っている全ての会社の業務が止まってしまいます。現代のビジネスは「みんなでつながっている」からこそ、「一番弱いところ」が全体のリスクになってしまう。自分だけ頑張っても、つながっている相手次第で被害を受けてしまうのが、サードパーティリスクの怖さなのです。

サードパーティリスクで発生する被害は?

サードパーティリスクにより、取引先経由でのサイバー攻撃、委託先からの情報漏洩、サービス停止による事業中断などが発生します。ルールと備え(GRC)の観点から、自社のセキュリティ対策が万全でも、第三者の脆弱性が原因で甚大な被害を受ける可能性があります。特に、重要業務を外部委託している場合や、クラウドサービスに依存している場合、その影響は計り知れません。Target社の事例では、空調業者経由で4,000万件のカード情報が流出しました。

サードパーティリスクで発生する直接的被害

委託先からの大規模情報漏洩

データ処理を委託している企業がサイバー攻撃を受け、預けていた数百万件の顧客情報が流出し、自社が賠償責任を負う

取引先経由でのランサムウェア感染

VPN接続している取引先がランサムウェアに感染し、ネットワーク経由で自社システムも暗号化されて、業務が完全停止する

クラウドサービス障害による事業停止

依存しているクラウドサービスが長期間停止し、販売システムや生産管理が機能せず、1日あたり数億円の売上損失が発生する

サードパーティリスクで発生する間接的被害

連鎖倒産のリスク

重要サプライヤーがサイバー攻撃で倒産し、代替調達先が見つからず、自社の生産も停止して経営危機に陥る

コンプライアンス違反と制裁

委託先の不適切なデータ管理が原因で個人情報保護法違反となり、自社も管理責任を問われて巨額の制裁金を科される

ブランド価値の毀損

「セキュリティの甘い業者と取引している」という評判が立ち、顧客や投資家からの信頼を失って、長期的な企業価値が低下する

サードパーティリスクの対策方法

サードパーティリスクへの対策は、取引先のセキュリティ評価、契約条項でのセキュリティ要件明記、継続的な監視が基本となります。ルールと備え(GRC)を強化するために、デューデリジェンスの実施、セキュリティ監査権の確保、インシデント発生時の責任分担の明確化が重要です。また、重要度に応じた取引先の分類、代替手段の準備、サードパーティリスク管理プラットフォームの活用により、リスクを体系的に管理することができます。

サードパーティリスクの対策を簡単に言うと?

子供の友達選びと遊び方のルール作りに例えると、まず遊ぶ前に相手の家庭がしっかりしているか確認し(セキュリティ評価)、「危ないことはしない」という約束をしてから遊びます(契約条項)。大切なおもちゃは貸さないか、壊れてもいいものだけ貸し(リスクに応じた情報共有)、定期的に「ちゃんと約束守ってる?」と確認します(監視)。また、一人の友達に依存せず、複数の友達と遊べるようにしておき(代替手段)、もし問題が起きたら誰が責任を取るか事前に決めておきます(責任分担)。さらに、親同士で情報交換して(情報共有)、危ない子とは距離を置きます。「信頼するけど確認する」という姿勢で、安全な関係を保つことが大切です。

サードパーティリスクに関連した要素

ルールと備え(GRC)において、サードパーティリスクと密接に関連する3つの要素を解説します。

監査/コンプライアンス

サードパーティリスク管理には、取引先の定期的な監査が不可欠です。監査を通じて取引先のセキュリティ状況を評価し、コンプライアンス要件を満たしているか確認します。自社の監査だけでなく、サードパーティの監査証明(SOC2、ISO27001等)の取得状況も重要な判断材料となります。

事業継続計画(BCP)/災害復旧(DR)

サードパーティの障害や被災は、自社の事業継続に直接影響します。BCP/DRでは、重要な取引先やサービスが利用できなくなった場合の代替策を準備し、サプライチェーン全体の復旧計画を立てる必要があります。

セキュリティポリシー/リスク管理

サードパーティリスクは、全社的なリスク管理の一環として扱われるべきです。セキュリティポリシーに取引先の要件を明記し、リスク評価に基づいて適切な管理レベルを決定します。サードパーティのリスクも自社のリスクとして捉える視点が重要です。

サードパーティリスクのよくある質問

はい、むしろ中小企業ほど重要です。大企業を狙う攻撃者は、セキュリティの弱い取引先である中小企業を「踏み台」として狙います。規模に関わらず、適切な管理が必要です。

セキュリティ質問票の送付、認証取得状況の確認、セキュリティレポートの要求、必要に応じて実地監査を行います。また、外部のリスク評価サービスの活用も有効です。

SLAの確認、データの保存場所と管轄法の確認、バックアップとデータ移行の可能性、セキュリティ認証の確認、インシデント時の責任範囲の明確化が重要です。

まず対話を通じてリスクの重要性を説明し、段階的な改善を求めます。それでも改善が見られない場合は、取引の縮小や代替先の検討も必要になります。

サイバー保険の中にサードパーティリスクをカバーするものがあります。ただし、適用範囲や免責事項をよく確認し、保険だけに頼らない総合的な対策が必要です。

リスクレベルに応じて、高リスクは年1回以上、中リスクは2-3年に1回、低リスクは初回評価のみなど、メリハリをつけた評価が効率的です。重大インシデント発生時は即座に再評価します。

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京都開発研究所

システム開発/サーバ構築・保守/技術研究

CMSの独自開発および各業務管理システム開発を行っており、 10年以上にわたり自社開発CMSにて作成してきた70,000以上のサイトを 自社で管理するサーバに保守管理する。