ワイパー系マルウェアを初心者でも分かりやすく解説

あなたの会社のデータが、一瞬で永久に消え去ったらどうしますか?ワイパー系マルウェアは、金銭目的ではなく純粋な破壊を目的とした、最も恐ろしいマルウェアです。パソコン・スマホの危険(端末の脅威)の中でも、ランサムウェアのような交渉の余地すらない、完全な破壊をもたらす究極の脅威です。本記事では、なぜワイパーが使われるのか、どんな壊滅的被害が発生するのか、そして最悪の事態から組織を守るための実践的な対策について、専門知識がなくても理解できるように解説します。デジタル時代の「焦土作戦」から生き残る方法を学びましょう。

ワイパー系マルウェアとは?

ワイパー系マルウェアとは、コンピュータ内のデータやシステムファイルを完全に破壊・消去することを目的とした、極めて破壊的なマルウェアです。パソコン・スマホの危険(端末の脅威)の中でも最も凶悪な脅威の一つで、ランサムウェアのように身代金を要求するのではなく、純粋に破壊だけを目的としています。ハードディスクのマスターブートレコード(MBR)を破壊したり、ファイルを上書きして復元不可能にしたり、システム全体を起動不能にします。NotPetya、Shamoon、WhisperGateなど、国家間のサイバー攻撃や破壊工作で使用されることが多く、標的となった組織は壊滅的な打撃を受けます。

ワイパー系マルウェアを簡単に言うと?

放火犯に例えると、泥棒は金目の物を盗むために侵入しますが、放火犯は全てを燃やし尽くすことが目的です。ワイパー系マルウェアも同じで、ランサムウェア(泥棒)は「お金を払えばデータを返す」と交渉しますが、ワイパー(放火犯)は最初から全てを破壊するつもりで、交渉の余地がありません。家の中の家具、写真、思い出の品、全てをガソリンをかけて燃やし、二度と使えないようにしてしまいます。しかも、火が隣の家にも燃え移るように、ネットワークでつながった他のコンピュータも次々に破壊していきます。まるで、デジタル世界の「焦土作戦」のような、復旧を一切考えない純粋な破壊行為。それがワイパー系マルウェアの恐ろしさなのです。

ワイパー系マルウェアで発生する被害は?

ワイパー系マルウェアにより、事業の完全停止、データの永久喪失、インフラの物理的損害などが発生します。パソコン・スマホの危険(端末の脅威)として、バックアップも含めて破壊されることが多く、復旧が極めて困難または不可能になります。特に、重要インフラや製造業が標的になった場合、社会全体に影響を与える可能性があります。

ワイパー系マルウェアで発生する直接的被害

  • 全データの完全消失 - 業務データ、顧客情報、財務記録、知的財産など、企業の全デジタル資産が復元不可能な状態で破壊され、事業継続が不可能になる
  • システムの完全破壊 - オペレーティングシステム、アプリケーション、ファームウェアまで破壊され、ハードウェアの交換が必要になるほどの損害を受ける
  • 生産設備の物理的破壊 - 産業制御システムが破壊され、工場の生産ライン、発電所の制御システムなどが暴走し、物理的な設備損害や事故が発生する

ワイパー系マルウェアで発生する間接的被害

  • 事業の永続的停止 - データとシステムの完全喪失により復旧が不可能となり、倒産や廃業に追い込まれ、従業員全員が職を失う
  • サプライチェーンの崩壊 - 重要サプライヤーが機能停止に陥り、関連企業全体の生産が停止し、業界全体に数千億円規模の経済的損失が発生する
  • 国家安全保障への脅威 - 電力、水道、交通などの重要インフラが破壊され、社会機能が麻痺し、国民生活に深刻な影響を与える

ワイパー系マルウェアの対策方法

ワイパー系マルウェアへの対策は、オフラインバックアップの徹底、ネットワークセグメンテーション、インシデント対応計画の準備が基本となります。パソコン・スマホの危険(端末の脅威)から守るために、イミュータブルバックアップの実装、エンドポイント検知・対応(EDR)の導入、定期的な復旧訓練が重要です。また、地政学的リスクの評価、脅威インテリジェンスの活用、最悪の事態を想定した事業継続計画により、壊滅的被害を回避することができます。

ワイパー系マルウェアの対策を簡単に言うと?

核シェルターの準備に例えると、まず重要な物(データ)を地下深くの金庫(オフラインバックアップ)に保管し、爆撃されても壊れないようにします。建物を区画ごとに防火壁で区切り(ネットワークセグメンテーション)、一箇所が燃えても全体に広がらないようにします。常に見張りを置いて(EDR)、怪しい動きがあればすぐに警報を鳴らし、避難訓練(復旧訓練)を定期的に行います。また、「どの国と関係が悪化しているか」(地政学的リスク)を把握し、攻撃の予兆を見逃さないようにします。そして最も重要なのは、「全てが破壊されても、ゼロから再建できる」という計画と準備。紙の書類や別の場所の工場など、デジタル以外の方法でも事業を続けられる体制を作っておくことが、究極の破壊から生き残る唯一の方法なのです。

ワイパー系マルウェアに関連した攻撃手法

パソコン・スマホの危険(端末の脅威)において、ワイパー系マルウェアと密接に関連する3つの攻撃手法を解説します。

  • ランサムウェア - ワイパー系マルウェアは、しばしばランサムウェアに偽装して侵入します。NotPetyaのように、最初はランサムウェアのように見せかけて、実際はデータを破壊するだけという「偽ランサムウェア」型のワイパーが増えています。

  • マルウェア感染 - ワイパー系マルウェアも、他のマルウェアと同様の感染経路(メール添付、脆弱性悪用、USBなど)を使います。最初は普通のマルウェアとして潜伏し、特定の日時や条件で破壊活動を開始することが多いです。

  • 標的型攻撃(APT)(関連) - ワイパー系マルウェアは、国家支援型のAPT攻撃の最終段階で使用されることが多いです。長期間の偵察と侵入の後、最大の破壊効果を狙って投入される「最終兵器」的な位置づけです。

ワイパー系マルウェアのよくある質問

Q: ランサムウェアとの違いは何ですか?
A: ランサムウェアは身代金目的でデータを暗号化しますが、復号キーが存在します。ワイパーは破壊が目的で、データを復元する方法がありません。金銭ではなく破壊そのものが目的です。

Q: 個人も標的になりますか?
A: 基本的に組織や国家インフラが標的ですが、無差別型のワイパー(NotPetyaなど)に巻き込まれる可能性はあります。また、標的組織の従業員の個人PCが狙われることもあります。

Q: バックアップがあれば大丈夫ですか?
A: オンラインバックアップは破壊される可能性が高いです。オフライン、できれば物理的に隔離されたバックアップが必要です。また、バックアップからの復旧手順の確認も重要です。

Q: 日本も攻撃対象になりますか?
A: 地政学的緊張が高まると、日本の重要インフラや企業も標的になる可能性があります。実際、日本企業がNotPetyaで被害を受けた事例もあります。

Q: 感染したらどうすればよいですか?
A: 即座にネットワークから切断し、他のシステムへの感染拡大を防ぎます。しかし、多くの場合データは既に破壊されているため、復旧は困難です。事前の備えが最も重要です。

Q: セキュリティソフトで防げますか?
A: 既知のワイパーは検知できますが、新種や国家レベルの高度なワイパーは検知が困難です。多層防御、特に破壊された後の復旧計画が不可欠です。

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京都開発研究所

システム開発/サーバ構築・保守/技術研究

CMSの独自開発および各業務管理システム開発を行っており、 10年以上にわたり自社開発CMSにて作成してきた70,000以上のサイトを 自社で管理するサーバに保守管理する。