システム障害発生時の社外向けお知らせ文例と公表タイミング

ランサムウェア被害やサイバー攻撃によりシステムが停止した場合、顧客や利用者への適切な情報発信が求められます。しかし、緊急事態の中で「何を」「いつ」「どのように」伝えるべきか、判断に迷う方も多いでしょう。本記事では、システム障害発生時のお知らせ文例を、第一報・経過報告・復旧報告の段階別に解説します。また、公表すべきかどうかの判断基準、SNSやWebサイトでの告知方法についても紹介します。緊急時に備え、あらかじめ対応方針と文例を準備しておくことで、発生時の混乱を軽減できます。

システム障害発生時の公表判断基準

システム障害が発生した場合、すべてのケースで公表が必要なわけではありません。公表の要否を判断する基準を理解しておくことが重要です。

公表すべきケース

顧客・利用者への影響がある場合
Webサービス、ECサイト、会員システムなど、顧客や利用者が直接利用するシステムが停止している場合は公表が必要です。「利用できない」と問い合わせが来る前に公表することで、問い合わせ対応の負荷を軽減できます。
サービス停止時間が長引く場合
復旧に数時間以上かかる見込みの場合は公表すべきです。短時間で復旧する場合でも、業務時間帯や利用のピーク時間帯に重なる場合は公表を検討してください。
すでにSNS等で話題になっている場合
ユーザーがSNSで「○○が使えない」と投稿し始めている場合は、公式からの情報発信が必要です。放置すると、憶測や不正確な情報が広がるリスクがあります。
情報漏洩の可能性がある場合
不正アクセスマルウェア感染が原因の場合、単なるシステム障害ではなく、情報漏洩の可能性を含めた公表が必要になることがあります。

公表の必要性が低いケース

状況 判断 理由
影響範囲が限定的 公表不要の可能性 特定の機能のみ、特定の時間帯のみの場合
短時間で復旧 公表不要の可能性 数十分程度で復旧し、利用者への影響が軽微な場合
社内システムのみ 公表不要の可能性 顧客向けサービスに影響がない場合
深夜・早朝 公表不要の可能性 利用者が少ない時間帯で、業務時間前に復旧見込みの場合

ただし、上記のケースでも、影響を受けた顧客から問い合わせがあった場合は、個別に説明する必要があります。


第一報のタイミングと内容

システム障害の第一報は、できるだけ早く発信することが重要です。

第一報の目的

障害発生の事実を伝える
「現在、サービスをご利用いただけない状態が発生しています」という事実を最優先で伝えます。
影響範囲を伝える
全サービスなのか、一部機能なのか、どの範囲に影響があるかを伝えます。
復旧見込みを伝える
わかる範囲で復旧見込みを伝えます。わからない場合は「調査中」と明記します。

第一報に含めるべき要素

要素 内容
発生日時 いつから発生しているか 「本日○時頃より」
影響範囲 どのサービス・機能が影響を受けているか 「○○サービスをご利用いただけない状態」
現在の対応 何をしているか 「現在、原因の調査および復旧作業を進めております」
復旧見込み いつ復旧する見込みか 「○時頃の復旧を目指しております」または「復旧見込みは確認中」
謝罪 ご迷惑をおかけしていることへの謝意 「ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」

第一報の文例


【重要】○○サービス 障害発生のお知らせ

平素より○○サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

本日○時○分頃より、○○サービスがご利用いただけない状態が発生しております。

現在、原因の調査および復旧作業を進めております。
復旧見込み時刻は、確認でき次第、本ページにてお知らせいたします。

ご利用のお客様には大変ご迷惑をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。

○年○月○日 ○時○分
株式会社○○



経過報告のテンプレート

復旧に時間がかかる場合は、定期的に経過報告を行うことが重要です。

経過報告の目的

復旧作業の進捗を伝える
対応が進んでいることを示すことで、利用者の不安を軽減します。
復旧見込み時刻の更新
見込み時刻が変わった場合は更新します。遅れる場合も正直に伝えます。
利用者が取るべきアクションの案内
代替手段がある場合や、復旧後に必要な操作がある場合は案内します。

経過報告の頻度

復旧見込み 報告頻度の目安
1〜2時間以内 30分〜1時間ごと
半日程度 1〜2時間ごと
1日以上 朝・昼・夕など定時報告
長期化 1日1回以上、進捗があった時点で随時

経過報告の文例


【続報】○○サービス 障害対応状況のお知らせ(○時○分更新)

○○サービスの障害について、現在の対応状況をお知らせいたします。

■ 現在の状況
復旧作業を継続しております。原因は○○であることが判明し、対策を実施中です。

■ 復旧見込み
○時頃の復旧を目指しております。
※状況により変動する可能性がございます。

■ 影響を受けているサービス
・○○機能
・○○機能

■ ご利用可能なサービス
・○○機能は通常通りご利用いただけます

引き続き、復旧作業を進めてまいります。
ご迷惑をおかけしておりますこと、重ねてお詫び申し上げます。

○年○月○日 ○時○分 更新
株式会社○○



復旧報告のテンプレート

システムが復旧したら、速やかに復旧報告を行います。

復旧報告の目的

復旧完了の報告
サービスが正常に利用できる状態に戻ったことを明確に伝えます。
原因の説明(可能な範囲で)
どのような原因で障害が発生したかを説明します。セキュリティ上の理由で詳細を控える場合は、その旨を記載します。
再発防止策の説明
同様の障害を防ぐためにどのような対策を講じるかを説明します。
謝罪
ご迷惑をおかけしたことへの謝意を改めて表明します。

復旧報告に含めるべき要素

要素 内容
復旧日時 いつ復旧したか
障害の期間 何時間・何分間の障害だったか
影響範囲 どのサービス・機能が影響を受けたか
原因 可能な範囲で原因を説明
再発防止策 今後の対策
謝罪 ご迷惑をおかけしたことへの謝意

復旧報告の文例


【復旧】○○サービス 障害復旧のお知らせ

平素より○○サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

本日○時○分頃より発生しておりました障害につきまして、○時○分に復旧いたしましたのでお知らせいたします。

■ 障害発生期間
○年○月○日 ○時○分 〜 ○時○分(約○時間○分)

■ 影響を受けたサービス
・○○機能
・○○機能

■ 原因
システムの○○に起因する障害が発生いたしました。
※セキュリティ上の観点から、詳細についてはご案内を控えさせていただきます。

■ 再発防止策
今回の障害を受け、○○の対策を実施いたしました。今後、同様の障害が発生しないよう、システムの監視体制を強化してまいります。

このたびはご迷惑をおかけいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。
今後とも○○サービスをよろしくお願いいたします。

○年○月○日
株式会社○○



SNS・Webサイトでの告知方法

システム障害の告知は、複数のチャネルで行うことが効果的です。

公式サイトでの告知

目立つ位置にバナー設置
トップページの上部など、目立つ位置に障害発生中のバナーを設置します。クリックで詳細ページに遷移するようにします。
専用ページの作成
障害の詳細、対応状況、復旧見込みを記載した専用ページを作成します。このページを随時更新していきます。
更新日時の明記
情報がいつ時点のものかわかるよう、必ず更新日時を明記します。「○時○分更新」「最終更新:○時○分」等。

SNSでの告知

ポイント 詳細
簡潔な文面 Twitterなら280文字以内、要点のみを伝える
詳細は公式サイトへ誘導 「詳細はこちら:[URL]」と公式サイトのURLを記載
ハッシュタグの活用 自社サービス名のハッシュタグがあれば使用
リプライ対応の方針 個別対応するか、公式サイトへ誘導するかを決めておく

SNSでの告知文例


【障害発生】○○サービスについて
現在、○○サービスがご利用いただけない状態が発生しております。復旧に向けて対応中です。復旧見込みが判明次第、お知らせいたします。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。
詳細:[URL]



【復旧】○○サービスについて
○時○分頃より発生しておりました障害は、○時○分に復旧いたしました。ご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
詳細:[URL]



サイバー攻撃が原因の場合の注意点

ランサムウェア不正アクセスが原因の場合、通常のシステム障害とは異なる配慮が必要です。

公表内容の検討事項

原因の記載方法
捜査に支障がない範囲で記載します。「外部からの不正アクセスによるシステム障害」「セキュリティ上の問題によるシステム停止」など、詳細を伏せた表現を使う場合もあります。
情報漏洩の可能性
情報漏洩の可能性がある場合は、システム障害の告知とは別に、情報漏洩のお詫びが必要になることがあります。
警察・監督官庁との調整
捜査への影響を考慮し、公表内容について警察や監督官庁と調整が必要な場合があります。

攻撃が原因の場合の文例


【重要】システム障害発生のお知らせ

平素より弊社サービスをご利用いただき、誠にありがとうございます。

○月○日より、弊社システムにおいて障害が発生し、一部サービスがご利用いただけない状態となっております。

本障害は、外部からの不正なアクセスに起因するものと判明しております。現在、セキュリティ専門会社と連携し、調査および復旧作業を進めております。

お客様情報への影響については現在調査中であり、判明次第、改めてご報告いたします。

ご利用のお客様には多大なるご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、深くお詫び申し上げます。

○年○月○日
株式会社○○



よくある質問(FAQ)

Q: 原因がわからない段階で公表すべきですか?
A: 顧客への影響がある場合は、原因がわからない段階でも公表すべきです。「現在、原因を調査中です」と明記した上で、影響範囲と復旧見込み(わかる範囲で)を伝えてください。原因が判明したら、追加報告で更新します。原因の特定を待って公表を遅らせると、利用者の不満が高まり、SNSでの批判が広がるリスクがあります。
Q: 復旧見込みがわからない場合、どう記載すればよいですか?
A: 「復旧見込みは現在確認中です。判明次第、本ページにてお知らせいたします」と記載してください。根拠のない楽観的な見込みを出すよりも、「わからない」と正直に伝える方が、後の信頼回復につながります。ただし、定期的に経過報告を行い、対応が進んでいることを示すことが重要です。
Q: SNSで批判的なコメントが投稿されている場合、どう対応すべきですか?
A: 公式アカウントからの情報発信を続け、正確な情報を提供することが最善の対応です。個別の批判的なコメントへの反論は避け、「ご迷惑をおかけしております。復旧作業を進めております」と丁寧に対応してください。明らかな誤情報が拡散している場合は、公式に訂正する投稿を行うことも検討してください。
Q: 競合他社にシステム障害を知られたくないのですが、公表を控えてもよいですか?
A: 顧客への影響がある場合は、競合への配慮よりも顧客への情報提供を優先すべきです。公表を控えた結果、顧客からの信頼を失う方が、長期的なダメージは大きくなります。競合は、公表の有無にかかわらず、顧客からの情報や業界内のつながりを通じて障害の発生を知る可能性があります。
Q: 復旧後、お詫びとしてクーポン等を配布すべきですか?
A: ケースバイケースですが、長時間の障害や繰り返しの障害の場合、お詫びとしてクーポン等を配布することは、顧客満足度の維持に効果的な場合があります。ただし、配布する場合は、対象者の範囲、配布方法、有効期限などを明確に決めてから告知してください。安易に約束して履行できないと、さらなる信頼低下につながります。

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京都開発研究所

システム開発/サーバ構築・保守/技術研究

CMSの独自開発および各業務管理システム開発を行っており、 10年以上にわたり自社開発CMSにて作成してきた70,000以上のサイトを 自社で管理するサーバに保守管理する。